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ε-δ論法とは

aを中心とするδ帯の入力がLを中心とするε帯の出力へ入るグラフ
先に出力側の許容誤差εを決め、それを保証する入力側の幅δを選びます。破線とラベルで二つの帯を区別しています。

「xx が aa に限りなく近づく」という言葉だけでは、どの程度近づけば十分なのかが曖昧です。また、x=ax=a での値を調べることと、aa の近くでの振る舞いを調べることは別です。

ε-δ論法は「限りなく近い」を使わず、どんな精度を要求されても、その精度を実現できる入力範囲を用意できるという形に言い換えます。

図がなくても、aa を中心とする入力の細い区間を想像してください。その区間から aa 自身を除いた場所に xx を入れると、出力が必ず LL を中心とする指定幅の区間へ収まる、という意味です。

定義は次の順番で読みます。

  1. 相手が、任意の正の数 ε\varepsilon を先に選ぶ
  2. その ε\varepsilon を見て、こちらが正の数 δ\delta を選ぶ
  3. その後で、条件 0<∣x−a∣<δ0<|x-a|<\delta を満たすどの xx を選ばれても、∣f(x)−L∣<ε|f(x)-L|<\varepsilon が成立する

δ\delta は ε\varepsilon に応じて変えて構いません。一方、xx が選ばれる前に δ\delta を決めるので、δ\delta を xx に依存させてはいけません。

δを見つける計算と、証明を書く順序

Section titled “δを見つける計算と、証明を書く順序”

下書きでは、目標 ∣f(x)−L∣<ε|f(x)-L|<\varepsilon から逆向きに計算し、必要な δ\delta を探します。完成した証明では、最初に「ε>0\varepsilon>0 を任意に取る。δ=ε2\delta=\frac{\varepsilon}{2} と置く」と宣言し、その選択が働くことを順向きに確認します。

Q一次関数の極限★★☆

ε-δ論法を使って lim⁡x→2(3x+1)=7\lim_{x\to2}(3x+1)=7 を証明してください。

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∣(3x+1)−7∣|(3x+1)-7| を ∣x−2∣|x-2| を使って表します。出力の誤差を ε\varepsilon 未満にするには、入力の誤差をいくつ未満にすればよいでしょうか。

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ε>0\varepsilon>0 を任意に取ります。∣(3x+1)−7∣=3∣x−2∣|(3x+1)-7|=3|x-2| なので、δ=ε3\delta=\frac{\varepsilon}{3} と置きます。0<∣x−2∣<δ0<|x-2|<\delta を満たす任意の xx について ∣(3x+1)−7∣=3∣x−2∣<3δ=ε.|(3x+1)-7|=3|x-2|<3\delta=\varepsilon. したがって定義により lim⁡x→2(3x+1)=7\lim_{x\to2}(3x+1)=7 です。

Q指定された誤差からδを決める★☆☆

f(x)=2xf(x)=2x について、x→3x\to3 のとき f(x)→6f(x)\to6 となります。出力誤差を 0.10.1 未満にするための δ\delta を一つ求めてください。

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∣2x−6∣=2∣x−3∣|2x-6|=2|x-3| を使います。
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δ=0.05\delta=0.05 と取れます。実際、0<∣x−3∣<0.050<|x-3|<0.05 なら ∣2x−6∣=2∣x−3∣<0.1|2x-6|=2|x-3|<0.1 です。これより小さい正の δ\delta でも構いません。

Q二次関数の極限を証明する★★★

定義に従って

lim⁡x→2x2=4\lim_{x\to2}x^2=4

を証明してください。

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∣x2−4∣=∣x−2∣∣x+2∣|x^2-4|=|x-2||x+2| です。まず ∣x−2∣<1|x-2|<1 として ∣x+2∣|x+2| を一定値で抑えます。
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ε>0\varepsilon>0 に対し δ=min⁡{1,ε5}\delta=\min\{1,\frac{\varepsilon}{5}\} と取ります。0<∣x−2∣<δ0<|x-2|<\delta なら ∣x−2∣<1|x-2|<1 なので 1<x<31<x<3、したがって ∣x+2∣<5|x+2|<5 です。よって

∣x2−4∣=∣x−2∣∣x+2∣<5δ≤ε.|x^2-4|=|x-2||x+2|<5\delta\le\varepsilon.

したがって定義により極限は 44 です。