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行列の積

行列はベクトルを別のベクトルへ移す規則を表せます。二つの規則を続けて行った結果も一つの行列で表したいので、行列積は「変換の合成」が正しく再現されるように定義されています。

内側の数 nn が一致する必要があり、外側の数 m,pm,p が結果のサイズになります。

具体的な計算を一般化します。A=(aik)A=(a_{ik})m×nm\times n 行列、B=(bkj)B=(b_{kj})n×pn\times p 行列とすると、C=ABC=AB の第 ii 行第 jj 列成分は

cij=k=1naikbkjc_{ij}=\sum_{k=1}^{n}a_{ik}b_{kj}

です。総和記号は、AA の第 ii 行と BB の第 jj 列にある対応成分の積をすべて足すことを表します。

これは、操作を行う順番を変えると最終結果が変わることに対応します。先に BB、後に AA を作用させる合成は ABAB で表されます。

サイズの合う単位行列 II は、どの行列 AA に対しても

IA=A,qquadAI=AIA=A,qquad AI=A

を満たします。単位行列はベクトルを変化させない変換を表します。

Q行列積を計算する★★☆
A=(2113),B=(1420)A=\begin{pmatrix}2&1\\-1&3\end{pmatrix},\qquad B=\begin{pmatrix}1&4\\2&0\end{pmatrix}

について、ABABBABA を求め、等しいか確認してください。

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各成分について「左の行×右の列」を計算します。たとえば ABAB の左上は 21+122\cdot1+1\cdot2 です。

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AB=(4854),BA=(21342).AB=\begin{pmatrix}4&8\\5&-4\end{pmatrix},\qquad BA=\begin{pmatrix}-2&13\\4&2\end{pmatrix}.

したがって ABBAAB\ne BA です。

Q積が定義できるか判定する★☆☆

AA2×32\times3 行列、BB3×43\times4 行列のとき、ABABBABA が定義できるか判定し、定義できる積のサイズを答えてください。

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内側の二つの数、つまり左の列数と右の行数を比較します。
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AA の列数3と BB の行数3が一致するので ABAB は定義でき、サイズは 2×42\times4 です。BABA では BB の列数4と AA の行数2が一致しないため、定義できません。

Q積の順序で結果が変わる例★★★
A=(1101),B=(1011)A=\begin{pmatrix}1&1\\0&1\end{pmatrix},\qquad B=\begin{pmatrix}1&0\\1&1\end{pmatrix}

について ABABBABA を計算し、比較してください。

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各成分を「左の行と右の列」の積和で求めます。
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AB=(2111),BA=(1112).AB=\begin{pmatrix}2&1\\1&1\end{pmatrix},\qquad BA=\begin{pmatrix}1&1\\1&2\end{pmatrix}.

両者は一致しません。したがって、同じサイズの正方行列でも一般に ABBAAB\ne BA です。