単射は出力の重なりを防ぎ、全射は終域の取りこぼしを防ぎます。図では矢印とラベルの両方で違いを示しています。
方程式 f(x)=y を解くとき、知りたいことは二つあります。「解は多くても一つか」と「どの y に対しても解があるか」です。前者に対応するのが単射、後者に対応するのが全射です。両方が成立すれば、出力から入力を一意に戻せます。
A={1,2,3}、B={a,b,c} とします。
有限集合でも、定義域と終域の要素数が異なれば単射だけ、または全射だけになる場合があります。無限集合では要素数の直感に頼らず、必ず定義で判断します。
h(x)=ex という同じ式を考えます。
- h:R→(0,∞) は全射です。任意の y>0 に x=logy が対応します。
- h:R→R は全射ではありません。0 以下の実数には届かないからです。
「全射か」は関数式だけでなく、終域まで含めて判断します。
| 写像 | 単射 | 全射 | 理由 |
|---|
| f:R→R | いいえ | いいえ | f(1)=f(−1)、負の数に届かない |
| f:R→[0,∞) | いいえ | はい | 出力はすべての非負実数に届くが、符号の異なる入力が潰れる |
| f:[0,∞)→[0,∞) | はい | はい | 非負の範囲では一対一で、すべての非負実数に届く |
最後の写像では、逆写像は f−1(y)=y です。
∵なぜ単射と全射の両方が必要か
f が全単射なら、任意の y∈B に対して f(x)=y となる x が全射性により存在し、単射性によりただ一つです。その唯一の x を g(y) と定めれば逆写像になります。
逆に逆写像 g があれば、f(x1)=f(x2) の両辺に g を作用させて x1=x2 となるので単射です。また任意の y∈B に対し x=g(y) とすれば f(x)=f(g(y))=y なので全射です。
Q定義域と終域を意識して判定する★★☆
写像 f:R→[0,∞)、f(x)=(x−1)2 は単射・全射・全単射のどれですか。定義を使って理由も説明してください。
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単射については、1 から同じ距離にある二つの入力を考えます。全射については、任意の y≥0 に対して (x−1)2=y を満たす実数 x があるかを考えます。
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単射ではありません。たとえば f(0)=1=f(2) ですが 0=2 です。
全射です。任意の y∈[0,∞) に対して x=1+y∈R と選べば f(x)=y です。したがって、この写像は全射ですが単射ではなく、全単射でもありません。
Q有限集合の写像を分類する★☆☆
X={1,2,3}、Y={a,b,c} とし、f(1)=a,f(2)=c,f(3)=b とします。f:X→Y が単射・全射・全単射のどれか判定してください。
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異なる入力の像が重ならないか、終域の各要素へ届くかを別々に確認します。
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三つの入力はそれぞれ異なる a,c,b へ移るので単射です。また終域の a,b,c のすべてが像として現れるので全射です。したがって全単射です。
Q合成写像から分かること★★★
f:X→Y、g:Y→Z とします。g∘f が単射なら f が単射であること、g∘f が全射なら g が全射であることを示してください。
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前半は
f(x1)=f(x2) と仮定します。後半は任意の
z∈Z から始めます。
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f(x1)=f(x2) なら g(f(x1))=g(f(x2)) です。g∘f の単射性から x1=x2 となるので、f は単射です。また任意の z∈Z に対し、合成の全射性から g(f(x))=z となる x∈X が存在します。y=f(x)∈Y と置けば g(y)=z なので、g は全射です。