対角行列をベクトルに掛けると、各成分を別々の倍率で伸び縮みさせるだけです。固有ベクトルを座標軸に選べれば、元の複雑な変換もこの単純な形で見られます。
A が一次独立な固有ベクトル v1,…,vn をもち、対応する固有値が λ1,…,λn なら
P=(v1 ⋯ vn),D=diag(λ1,…,λn).
P の列と D の対角成分は、必ず同じ順序で対応させます。
固有値が重複しても、独立な固有ベクトルが必要本数あれば対角化できます。たとえば I2 は固有値1だけを2重にもっていますが、すべての非零ベクトルが固有ベクトルなので対角化可能です。
A=PDP−1 なら途中の P−1P が消えるため
Ak=PDkP−1.
上の例では
Dk=(3k001),
したがって
Ak=21(3k+13k−13k−13k+1).
これは漸化式、連立微分方程式、長時間の変化を調べるときに役立ちます。
対角化できない行列も、複素数上ではジョルダン標準形というほぼ対角な形に整理できます。ここでは名前の紹介に留めます。
Q対角行列を組み立てる★☆☆
A=(4103) を対角化してください。
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固有値は
4,3。それぞれの固有ベクトルを同じ順序で
P に並べます。
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λ=4 では固有ベクトル (1,1)T、λ=3 では (0,1)T を選べます。したがって
P=(1101),P−1=(1−101),D=(4003).直接掛けると P−1AP=D です。
Qべき乗を求める★★☆
上の A について Ak を求めてください。
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Ak=PDkP−1 を使います。
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Dk=(4k003k)なので
Ak=(1101)(4k003k)(1−101)=(4k4k−3k03k).k=1 を代入すると元の A に戻り、検算できます。
Q対角化できないことを示す★★★
A=(1011)が対角化できないことを示してください。
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唯一の固有値
1 に対する固有空間の次元を調べます。
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特性多項式は (1−λ)2 です。λ=1 に対し
A−I=(0010)なので固有ベクトルは (x,0) の形で、固有空間は1次元です。R2 の基底となる2本の固有ベクトルを取れないため、A は対角化できません。