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固有値・固有ベクトルとは

一般方向は変換で向きが変わる一方、固有方向のベクトルは同一直線上で伸縮する図
固有ベクトルは、線形変換を受けても向きが変わらず、固有値の倍率だけ伸縮する特別な方向です。

一般のベクトルは行列を掛けると長さも向きも変わります。しかし一部の方向では、向きが保たれて伸び縮みするだけです。その方向を見つけると、変換の繰り返しを単純な倍率計算へ変えられます。

零ベクトルはどの λ\lambda に対しても式を満たすため、固有ベクトルから除きます。固有ベクトルを0でない定数倍しても、同じ固有値の固有ベクトルです。

Av=λvA\boldsymbol{v}=\lambda\boldsymbol{v}

(AλI)v=0(A-\lambda I)\boldsymbol{v}=\boldsymbol{0}

と同値です。零でない解をもつ条件は AλIA-\lambda I が逆行列をもたないことなので、

det(AλI)=0\det(A-\lambda I)=0

を解きます。これが固有方程式で、左辺を特性多項式といいます。

実行列でも、実数の固有値をもたないことがあります。たとえば

R=(0110)R=\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}

は90度回転を表し、実平面に向きが保たれる零でないベクトルはありません。特性方程式は λ2+1=0\lambda^2+1=0 で、複素数上では固有値 ±i\pm i をもちます。

三角行列では固有値は対角成分ですが、一般の行列では対角成分そのものとは限りません。また固有値が重複するとき、重複回数と同じ本数の独立な固有ベクトルが得られるとは限りません。

Q三角行列の固有値と固有ベクトル★☆☆

A=(4102)A=\begin{pmatrix}4&1\\0&2\end{pmatrix} の固有値と各固有空間を求めてください。

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固有値は対角成分です。その後 (AλI)v=0(A-\lambda I)\boldsymbol{v}=0 を解きます。
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固有値は 4,24,2 です。λ=4\lambda=4 では y=0y=0 なので

E4=span{(1,0)T}.E_4=\operatorname{span}\{(1,0)^{\mathsf T}\}.

λ=2\lambda=2 では 2x+y=02x+y=0 なので

E2=span{(1,2)T}.E_2=\operatorname{span}\{(1,-2)^{\mathsf T}\}.
Q重複固有値を調べる★★☆

B=(2102)B=\begin{pmatrix}2&1\\0&2\end{pmatrix} の固有値と固有空間を求め、独立な固有ベクトルが2本あるか判定してください。

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特性多項式は (2λ)2(2-\lambda)^2 です。
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固有値は 22 だけで、代数的には2重です。

B2I=(0100)B-2I=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}

より y=0y=0 なので

E2=span{(1,0)T}.E_2=\operatorname{span}\{(1,0)^{\mathsf T}\}.

固有空間は1次元で、独立な固有ベクトルは1本しか得られません。この事実が、次の記事で対角化できない理由になります。

Q係数体で変わる固有値★★★
A=(0110)A=\begin{pmatrix}0&-1\\1&0\end{pmatrix}

の固有値を求め、実数上と複素数上で何が違うか説明してください。

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特性多項式 det(AλI)\det(A-\lambda I) を計算します。
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det(AλI)=det(λ11λ)=λ2+1.\det(A-\lambda I)=\det\begin{pmatrix}-\lambda&-1\\1&-\lambda\end{pmatrix}=\lambda^2+1.

実数上では λ2+1=0\lambda^2+1=0 に解がないため実固有値はありません。複素数上では固有値は λ=i,i\lambda=i,-i です。このように固有値の存在は扱う係数体に依存します。