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対称行列と直交対角化

転置 ATA^{\mathsf T} は行と列を入れ替えた行列です。

証明
(Qx)T(Qy)=xTQTQy=xTy.(Q\boldsymbol{x})^{\mathsf T}(Q\boldsymbol{y}) =\boldsymbol{x}^{\mathsf T}Q^{\mathsf T}Q\boldsymbol{y} =\boldsymbol{x}^{\mathsf T}\boldsymbol{y}.

y=x\boldsymbol{y}=\boldsymbol{x} とすればノルムも保たれます。

スペクトル定理の一般証明には、固有値の存在と固有空間ごとの帰納的な議論が必要です。本記事では定理を使用し、重要な直交性を次に証明します。

証明

対称性から

Av,w=v,Aw.\langle A\boldsymbol{v},\boldsymbol{w}\rangle =\langle\boldsymbol{v},A\boldsymbol{w}\rangle.

固有方程式を代入すると

λv,w=μv,w.\lambda\langle\boldsymbol{v},\boldsymbol{w}\rangle =\mu\langle\boldsymbol{v},\boldsymbol{w}\rangle.

λμ\lambda\ne\mu なので内積は0です。

固有値が重複しても、対応する固有空間内でグラム・シュミット法を使い正規直交基底を選べます。対称行列では異なる固有空間同士も直交します。

直交対角化は二次形式の主軸変換、主成分分析、量子力学の観測量などに現れます。複素数の場合には対称行列ではなく、共役転置を用いるエルミート行列が対応します。

Q直交行列の確認★☆☆

Q=15(3443)Q=\frac15\begin{pmatrix}3&-4\\4&3\end{pmatrix} が直交行列であることを確認してください。

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列のノルムと内積を調べます。
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各列のノルムの2乗は 9+1625=1\frac{9+16}{25}=1、列同士の内積は 12+1225=0\frac{-12+12}{25}=0 です。よって QTQ=IQ^{\mathsf T}Q=I で直交行列です。

Q直交対角化★★☆

B=(4224)B=\begin{pmatrix}4&2\\2&4\end{pmatrix} を直交対角化してください。

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固有値は6と2で、固有方向は (1,1)(1,1)(1,1)(1,-1) です。
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Q=12(1111),D=(6002).Q=\frac1{\sqrt2}\begin{pmatrix}1&1\\1&-1\end{pmatrix}, \qquad D=\begin{pmatrix}6&0\\0&2\end{pmatrix}.

BQ=QDBQ=QD なので QTBQ=DQ^{\mathsf T}BQ=D、また B=QDQTB=QDQ^{\mathsf T} です。固有ベクトルと固有値の列順を同時に入れ替えても正しい直交対角化になります。

Q二次形式の最大値と最小値★★★
A=(2112)A=\begin{pmatrix}2&1\\1&2\end{pmatrix}

とします。x=1\|x\|=1 のもとで二次形式 xTAxx^{\mathsf T}Ax の最大値・最小値と、それを達成する単位ベクトルを求めてください。

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AA の固有値は3と1で、対応する方向は (1,1)(1,1)(1,1)(1,-1) です。
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実対称行列の二次形式は、単位固有ベクトル方向で対応する固有値を取ります。したがって最大値は3で

x=±12(1,1)x=\pm\frac1{\sqrt2}(1,1)

のとき、最小値は1で

x=±12(1,1)x=\pm\frac1{\sqrt2}(1,-1)

のときに達成されます。