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量化記号と命題の否定

P(x):x2≥0P(x):x^2\ge0 は、xx の範囲を決めていなければ変数を含む文です。たとえば議論領域を実数全体とし、「すべての実数で成り立つ」と指定すると真偽の定まる命題になります。

∵証明

「全員が条件を満たす」が偽であるとは、条件を満たさない人が少なくとも一人いることです。「条件を満たす人が一人でもいる」が偽であるとは、全員が条件を満たさないことです。これは古典論理における量化のド・モルガンの法則です。

したがって全称命題を否定するには反例一つで十分です。存在命題を否定するには、すべての候補が条件を満たさないと示す必要があります。

実数について

∀x∈R ∃y∈R, y>x\forall x\in\mathbb R\ \exists y\in\mathbb R,\ y>x

は、各 xx に y=x+1y=x+1 を選べるので真です。一方

∃y∈R ∀x∈R, y>x\exists y\in\mathbb R\ \forall x\in\mathbb R,\ y>x

は、すべての実数より大きい実数がないので偽です。

量化記号が作用する範囲内の変数を束縛変数、範囲外に残る変数を自由変数といいます。変数名は意味の範囲が重ならないよう丁寧に使います。

関数の極限の定義は、概略

∀ε>0 ∃δ>0 ∀x,0<∣x−a∣<δ⇒∣f(x)−L∣<ε\forall\varepsilon>0\ \exists\delta>0\ \forall x, \quad 0<|x-a|<\delta\Rightarrow|f(x)-L|<\varepsilon

です。先に任意の ε\varepsilon が与えられ、それに応じて δ\delta を選び、その後のすべての xx に同じ δ\delta が通用しなければなりません。したがって δ\delta は ε\varepsilon に依存してよい一方、後から選ばれる xx には依存できません。

詳しくはε-δ論法とはで扱います。

Q量化命題を否定する★☆☆

「すべての整数 nn について n2≥nn^2\ge n」を記号で書き、その否定も書いてください。

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≥\ge の否定は << です。
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元の命題は ∀n∈Z, n2≥n\forall n\in\mathbb Z,\ n^2\ge n、否定は ∃n∈Z, n2<n\exists n\in\mathbb Z,\ n^2<n です。元の命題は n(n−1)≥0n(n-1)\ge0 から真です。

Q量化の順序を判定する★★☆

次の二つの真偽を説明してください。

∀x∈R ∃y∈R, xy=1,\forall x\in\mathbb R\ \exists y\in\mathbb R,\ xy=1,∃y∈R ∀x∈R, xy=1.\exists y\in\mathbb R\ \forall x\in\mathbb R,\ xy=1.
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最初の命題では x=0x=0 を調べます。2番目では x=0x=0 と x=1x=1 の両方を考えます。
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最初は x=0x=0 のとき 0y=10y=1 を満たす yy がないので偽です。2番目も、どの yy を選んでも x=0x=0 で等式が成立しないので偽です。量化の順序だけでなく議論領域も真偽に影響します。

Q量化命題を否定して判定する★★★

実数全体を範囲として

∀x ∃y  (x+y=0)\forall x\,\exists y\;(x+y=0)

を否定し、元の命題と否定のどちらが真か判定してください。

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∀\forall と ∃\exists を交換し、等号を否定します。元の命題では xx に応じて yy を選べます。
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否定は ∃x ∀y  (x+y≠0)\exists x\,\forall y\;(x+y\ne0) です。元の命題では各 xx に対して y=−xy=-x と選べるので真です。したがって否定は偽です。yy は一つに固定するのではなく、先に与えられた xx に依存して選べます。