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内積とは

ベクトルの加法とスカラー倍だけでは、長さや角度は測れません。内積を加えると、「近い」「垂直」「同じ向き」といった幾何学を、数式で扱えるようになります。

複素ベクトル空間では一方の変数を共役線形にし、対称性の代わりに共役対称性を使います。本記事では実数上だけを扱います。

コーシー・シュワルツの不等式

Section titled “コーシー・シュワルツの不等式”
証明

y=0\boldsymbol{y}=\boldsymbol{0} なら成立します。y0\boldsymbol{y}\ne\boldsymbol{0} とし、

z=xx,yy2y\boldsymbol{z}=\boldsymbol{x}- \frac{\langle\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\rangle}{\|\boldsymbol{y}\|^2}\boldsymbol{y}

と置きます。z20\|\boldsymbol{z}\|^2\ge0 を展開すると

0x2x,y2y2.0\le\|\boldsymbol{x}\|^2- \frac{\langle\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\rangle^2}{\|\boldsymbol{y}\|^2}.

両辺に y2\|\boldsymbol{y}\|^2 を掛けて平方根を取れば結論を得ます。等号は z=0\boldsymbol{z}=\boldsymbol{0}、つまり x\boldsymbol{x}y\boldsymbol{y} のスカラー倍のときです。

この不等式により角度の式の右辺は 1-1 以上 11 以下になり、余弦として意味を持ちます。また、これを使うと

x+yx+y\|\boldsymbol{x}+\boldsymbol{y}\|\le\|\boldsymbol{x}\|+\|\boldsymbol{y}\|

という三角不等式も得られます。

Q内積・ノルム・角度★☆☆

x=(1,2,1)T\boldsymbol{x}=(1,2,-1)^{\mathsf T}y=(2,0,2)T\boldsymbol{y}=(2,0,2)^{\mathsf T} の内積、各ノルム、角度を求めてください。

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まず内積が0になるか調べます。
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x,y=2+02=0\langle\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\rangle=2+0-2=0x=6\|\boldsymbol{x}\|=\sqrt6y=22\|\boldsymbol{y}\|=2\sqrt2 です。内積が0なので cosθ=0\cos\theta=0、したがって θ=π2\theta=\frac{\pi}{2} です。

Q重み付き内積★★☆

x,yw=x1y1+2x2y2\langle\boldsymbol{x},\boldsymbol{y}\rangle_w=x_1y_1+2x_2y_2 とします。x=(2,1)T\boldsymbol{x}=(2,1)^{\mathsf T} と内積が0になり、重み付きノルムが1であるベクトルを一つ求めてください。

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2y1+2y2=02y_1+2y_2=0 から方向を求め、最後に正規化します。
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y1=y2y_1=-y_2 なので (1,1)T(1,-1)^{\mathsf T} の方向です。その重み付きノルムの2乗は 1+2=31+2=3 です。よって

y=13(1,1)T\boldsymbol{y}=\frac1{\sqrt3}(1,-1)^{\mathsf T}

が条件を満たします。

Q直交する単位ベクトルを求める★★★

u=(1,2)u=(1,2) に直交する R2\mathbb R^2 の単位ベクトルをすべて求めてください。標準内積を使います。

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uu に直交するベクトルは t(2,1)t(-2,1) と表せます。ノルムが1となる tt を求めます。
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t(2,1)t(-2,1) のノルムは t5|t|\sqrt5 です。これが1となるのは t=±15t=\pm\frac{1}{\sqrt5} なので、求めるベクトルは

15(2,1),15(2,1)\frac1{\sqrt5}(-2,1),\qquad \frac1{\sqrt5}(2,-1)

です。