3x=6 なら両辺に 31 を掛けて x=2 とします。同様に Ax=b から x を取り出す「逆向きの操作」が逆行列です。ただし行列は変換の途中で方向を押し潰すことがあり、その場合は元へ戻せません。
有限次元の同じ大きさの正方行列では AB=I または BA=I の片方だけを示しても、もう片方が従います。長方形行列や一般の無限次元線形写像へ、この判定をそのまま広げてはいけません。
A が正則なら
Ax=b⟹x=A−1b
で、任意の b に対して解は一意です。ただし数値計算では、逆行列を明示的に作ってから掛けるより、掃き出し法などで Ax=b を直接解く方が計算量や誤差の面で有利なことがあります。
Q2×2公式で求める★☆☆
A=(3211) の逆行列を求め、積で確認してください。
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ad−bc=3⋅1−1⋅2 を計算します。
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ad−bc=1 なので
A−1=(1−2−13).AA−1=(3−22−2−3+3−2+3)=I2で、逆順の積も I2 になります。
Q存在しない理由と方程式★★☆
B=(1224) に逆行列がないことを示し、Bx=(1,0)T の解を調べてください。
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2行目が1行目の2倍であることと、右辺の対応を見ます。
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detB=4−4=0 で、行も列も一次従属なので逆行列はありません。方程式は
x+2y=1,2x+4y=0となり、第1式の2倍と第2式が矛盾します。したがって解はありません。情報を一方向へ潰すため、任意の右辺を元へ戻せません。
Q積の逆行列の順序★★★
可逆な正方行列 A,B に対して
(AB)−1=B−1A−1であることを、左右から掛けて確認してください。
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AB と
B−1A−1 をこの順序で掛け、結合法則を使います。
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(AB)(B−1A−1)=A(BB−1)A−1=AA−1=I,また
(B−1A−1)(AB)=B−1(A−1A)B=B−1B=I.したがって B−1A−1 は AB の逆行列です。順序が逆になる点が重要です。