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核と像

線形写像が入力をどう変えるかを一つずつ追う代わりに、「どの方向が消えるか」と「出力側のどこまで届くか」を調べます。核と像が分かると、単射・全射、方程式の解、変換が失う情報をまとめて理解できます。

証明

T(0)=0T(\boldsymbol{0})=\boldsymbol{0} なので核は零ベクトルを含みます。u,vkerT\boldsymbol{u},\boldsymbol{v}\in\ker TaRa\in\mathbb{R} なら

T(u+v)=T(u)+T(v)=0,T(au)=aT(u)=0T(\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v})=T(\boldsymbol{u})+T(\boldsymbol{v})=\boldsymbol{0},\qquad T(a\boldsymbol{u})=aT(\boldsymbol{u})=\boldsymbol{0}

なので核は加法とスカラー倍で閉じています。

像の二つのベクトルを T(u),T(v)T(\boldsymbol{u}),T(\boldsymbol{v}) と書けば、その和は T(u+v)T(\boldsymbol{u}+\boldsymbol{v})、実数倍は T(au)T(a\boldsymbol{u}) です。どちらも再び像に入ります。

線形写像 T(x)=AxT(\boldsymbol{x})=A\boldsymbol{x} の核は

Ax=0A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}

を満たす x\boldsymbol{x} 全体です。つまり、連立同次方程式の解集合です。

行列 AA の列ベクトルを a1,,an\boldsymbol{a}_1,\ldots,\boldsymbol{a}_n とすると、

Ax=x1a1++xnanA\boldsymbol{x}=x_1\boldsymbol{a}_1+\cdots+x_n\boldsymbol{a}_n

です。よって像は列ベクトルが生成する集合です。

二つの入力が同じ出力へ移るとき、T(u)=T(v)T(\boldsymbol{u})=T(\boldsymbol{v}) から T(uv)=0T(\boldsymbol{u}-\boldsymbol{v})=\boldsymbol{0} です。核に零ベクトル以外がなければ u=v\boldsymbol{u}=\boldsymbol{v} なので単射です。全射については、像が「実際に届く出力」の集合という定義そのものです。

直感的には、定義域の独立な方向が「核へ入って消える方向」と「像に残る方向」に分かれるという式です。上の例では

3=1+23=1+2

で、定義域 R3\mathbb{R}^3 の3方向のうち1方向が核へ潰れ、2方向が像に現れます。

Q核・像・次元を求める★☆☆
A=(1122),T:R2R2,T(x)=AxA=\begin{pmatrix}1&1\\2&2\end{pmatrix},\qquad T:\mathbb{R}^2\to\mathbb{R}^2,\quad T(\boldsymbol{x})=A\boldsymbol{x}

について、kerT\ker TImT\operatorname{Im}T、rank、nullityを求めてください。

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核では x+y=0x+y=0 を解きます。像では2本の列ベクトルが互いに何倍かを確認します。

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Ax=0A\boldsymbol{x}=\boldsymbol{0}x+y=0x+y=0 と同値なので、

kerT=span{(11)}.\ker T=\operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}1\\-1\end{pmatrix}\right\}.

2本の列ベクトルはどちらも (1,2)T(1,2)^{\mathsf T} なので、

ImT=span{(12)}.\operatorname{Im}T=\operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}1\\2\end{pmatrix}\right\}.

したがって nullityT=1\operatorname{nullity}T=1rankT=1\operatorname{rank}T=1 で、dimR2=1+1\dim\mathbb{R}^2=1+1 と次元定理にも一致します。

Q写像の単射・全射を判定する★★☆
S:R3R2,S(x,y,z)=(x+y, y+z)S:\mathbb{R}^3\to\mathbb{R}^2,\qquad S(x,y,z)=(x+y,\ y+z)

について、核と像を求め、単射・全射か判定してください。

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核では x+y=0x+y=0y+z=0y+z=0 を解きます。像では行列

(110011)\begin{pmatrix}1&1&0\\0&1&1\end{pmatrix}

の列ベクトルを見ます。

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y=ty=t と置くと x=t,z=tx=-t,z=-t なので、

kerS=span{(111)}.\ker S=\operatorname{span}\left\{\begin{pmatrix}-1\\1\\-1\end{pmatrix}\right\}.

零ベクトル以外を含むため単射ではありません。一方、行列の第1列 (1,0)T(1,0)^{\mathsf T} と第3列 (0,1)T(0,1)^{\mathsf T}R2\mathbb{R}^2 を生成するので、ImS=R2\operatorname{Im}S=\mathbb{R}^2 です。したがって全射です。rankは2、nullityは1で、3=1+23=1+2 が成り立ちます。

Q次元定理から単射・全射を判定する★★★

線形写像 T:R4R2T:\mathbb R^4\to\mathbb R^2dimImT=2\dim\operatorname{Im}T=2 を満たすとします。dimkerT\dim\ker T を求め、TT が単射・全射か判定してください。

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有限次元の次元定理と、終域 R2\mathbb R^2 の次元を使います。
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次元定理から

4=dimkerT+dimImT=dimkerT+24=\dim\ker T+\dim\operatorname{Im}T=\dim\ker T+2

なので dimkerT=2\dim\ker T=2 です。像は2次元で終域 R2\mathbb R^2 と一致するため全射です。一方、核が零ベクトルだけではないので単射ではありません。